あっくんさんは書楽せえぜ。

写楽じゃなくて、書楽。しょらくせえとはオレのことですよっと。

舞浜戦記:intermission

いったん骨休めして、と。

僕のディズニー思い出話を続けるにあたって注意点をいくつか書いておこう。

深く考えずに書き始めてしまったが、ここで昔話をする条件を決めようと思う。

・僕が現役のキャストを退いてすでに10年が経過している。変化の早いTDRにおいて10年はもう完全に別世界だ。「ディズニーランドは永遠に完成しない遊園地だ」というウォルトの有名な言葉がある。一般ゲストからするとディズニーランドもシーも新しい施設が増えるだけで元々あった既存の施設は何も変わっていないと思いがちだ。しかしそれは大きな間違い。施設等のハード面でも少しずつ改良を重ねていてより便利に、より時代にあったものに改装されている。

・つまり、ここに書かれている事は、どれも昔の話だということだ。現在のTDRを全く反映していない事を了承の上で読んでいただきたい。

・とは言え、パーク運営の根底に流れる思想、哲学は普遍的要素として現在の両園においても脈々と受け継がれている、と信じている。そのあたりも、自分なりに整理して描いてみたい。

・極力正確な史実を元に構成するつもりだが、僕自身の見聞に基いて解説しているため、専門家からすると的外れな箇所もあるかもしれない。あくまでそうだった、そう感じていた、という主観的な目線からの描写であることを了承いただきたい。

・テレビ番組における自粛行為が過去と現在では基準が異なるように、当時はのどかな時代で許されていたことが、現在はNGとなる事象もあるだろう。上記の項目に該当するような暴露はしないと明言しておく。ただし意図せずに問題案件へと発展した場合の対処についてはやぶさかではない。

・実際に存在した多数の人物たちについて触れないではこの記事は存立しえない。だが、中には当人が当時のエピソードに登場させられる事を望まないケースもあるだろう。とは言え、各人に許可を取る時間的余裕はない。僕と共に勤務した方が、ひょっとしてあの人のことを書いているのか、とようやく気づく程度に曖昧な描写に留めるつもりだ。

とりあえず、こんなところかな。

舞浜戦記3:ディズニーのパークが1年で最も混雑する季節

春。新学期から少したち、5月を迎える頃。

日々、電車に乗って通勤していると、春の風物詩とも言える現象を見かける。
電車の運転手も新人さんが増えるのか、列車がホームに到着し定位置で停車しようとするのだが、オーバーランしたり手前で減速し過ぎて完全停止までに時間がかかる時がある。
ノロノロとぎこちなく停車し、ドアが開くまで不自然な間が空く。
ああ、まだ運転に慣れていないんだな、と分かる。
だが、そんな時期を過ぎるとおそらくスキルアップしたせいか、不慣れな現象も治まりいつの間にか忘れてしまう。
そして次の年の春になり、ああまた新人さんの季節か、と気づく。

東京ディズニーリゾートにおいて、1年で最も混雑する季節はいつか?
夏休み? 意外だが、違う。
夏は気温が暑すぎて、逆に人はあまり来ない。
ゴールデンウィーク? でもない。
GWは連休中に大抵一日以上天候が崩れるので、来場者数はさほど伸びない。

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舞浜戦記2 サテライトと言う名の闘いもある

接客業。サービス業。現在は、特に資格や技能を持たない人々が仕事を手に入れる比較的容易な手段であり業種である。
僕もまたその人々の中の一人だ。
二十数年前、サービス業は今のように多様化し発達する直前の状態だったと思う。
バブルが弾けた直後の、長い停滞の時代だ。失われた20年の最初の数年の最中である。
だが時代背景は、このブログに必要ない。
早速本題に入らせてもらおう。

僕は、それまでサービス業に関わったことはほとんどなかった。
全くないでもなかったが、いずれも短期バイトですぐやめてしまったので、ほぼ経験として活かせるほどには至っていないため、未経験とほぼ同義だ。

ではなぜ、ディズニーだったのか。
もっと昔に遡ってのエピソードはある。だが無駄話になるので省略。
資格がなく、特殊技能もなく、学歴もない僕が選べるバイトの一つとして、短期的に乗り切れればいい、と割り切って始めてみようと思ったのだ。
つまり、気に入らなければすぐ辞める前提で、応募した。
面接は苦手だ。たとえアルバイトのであっても。
サテライトは面接とは違う。これが応募してみる理由の一つでもあった。

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舞浜戦記1 闘いの定義

このコラムのタイトル「舞浜戦記」は、僕がキャストだった頃の日々を綴ったものだが、なぜ「戦記」なのか。
その理由からご説明しよう。

その時僕は、仕事を探していた。

その頃の僕は、小説家になる夢を抱いて切磋琢磨し、駄文を量産する日々を送っていた。就職すると時間を拘束されるため、バイトで食いつないで過ごし、空いた時間はひたすら文章を練りだす地道な作業に明け暮れる。それが最も喜びを感じるし、唯一挑戦しがいのある行為であり、そしてまた自身の存在意義を実感できるただ一つの道だと信じていたわけだ。
ご多分に漏れず。何度コンクールに応募しても賞は取れず、評価もされない。また自分の納得できる作品が完成しない。焦燥と諦念が増殖してきたら己の精神を見つめ直し現在の立ち位置を再確認する、理想の創作活動を再定義して目指すべき道を見定める。精神的に立ち直ったら、理想を達成した輝ける未来を確信しモチベーションを奮い起こし復帰する。根拠なき自信を主燃料にして突き進む脳天気なクリエイター・ファンダメンタリストであった。
だが、先立つものが必要だ。
何でもよかったが、とりあえず心理的に負担の少ない仕事がいいのではないかと思っていた。そんなに心理的に負担のある仕事ばかりやっていたというわけでもないが、正直疲れていたのだ。正社員、就職、収入と言った言葉がぐるぐる動き回り背後に迫り、やがて自分を圧迫してくるのは間違いない事実であり現実だ。

だが、その時僕は26歳を迎え、いい加減な生活を送るのもほぼ限界まで来ていたのだ。そろそろ決断しなければならない。自分は小説家になれるか、なれないか。決断し、次の人生の目標を定めなければ。
諦める、という簡単な表現で済ませるには、当時の僕にとってはあまりにも重大過ぎる要素だったのだ。
決断は、何をやるか、やれるかにかかっていた。

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舞浜戦記・序章

ふと気まぐれに、昔話をしようと思います。

大昔、僕がディズニー・キャストをしていた頃のお話を、いくつかご紹介します。

第一話は、パーク外の話(なぜだ!)

お付き合いいただけたら幸いです。

 

 

第0話 舞浜ストレイルート

 

朝の舞浜は早い。

JR武蔵野線の始発・下り(東京方面行きだが、JRの表記では下りなのだ)が、舞浜駅に到着するのは午前6時直前だ。

埼玉や千葉の船橋以北から舞浜を訪れる方々が、公共交通機関に乗ってやってくるとしたら、おそらくこの時間が最も早い時間であろう。

朝6時に舞浜駅から東京ディズニーランド・正面入口へとつながっているペディストリアン(歩道)デッキを観察していると、ある程度まとまった人数が駆け抜けていくのを見ることができる。

それは、週末になるといつでも見られる毎度お馴染みの光景ではあるが、その中で、一種独特の人々の流れを見ることができる。

この人々、何が独特かというと、

①子供が含まれていない

②頭髪がみんな黒い(髪を染めていない)

③みんな眠そうで、とても遊びに来たような雰囲気ではない

そして、

舞浜駅を出ると、正面入口やリゾートライン乗り場とは別の方向へ向かって歩いていく

 

明らかに異質な集団である。

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突然の復活。

久しぶりにこのブログを覗いてみた。

 

実は、ブログのログインパスワードを忘れてしまい、それ以降、書き込みできなくなったブログが、いくつもある。

これもその中の一つで、もう二度と書き込めないかなと思っていた。

 

ふと思い出し、昔使っていたパスワードを入れてみると、

 

……入れた。

 

記念に、このブログを再利用してみようかな、と思う。

 

これも何かの縁なわけですかね。

 

 

あまちゃんをほとんど見ていないのに勝手に評価してみる

大人気朝ドラ「あまちゃん」。終わってしまいましたね。

 

自分はほとんど見ていないので作品の優劣を語る資格は全然ありません。なので参考にならない戯言を綴ります。

 

たくさんの視聴者にとって思い入れがあるドラマには、それ自体が存在価値を証明している裏付けになるし評価に値すると思います。一つ一つのエピソードや登場人物について語ったりするのがとにかく楽しい。分かります。

ちょうど最終回を見ました。最終回だけ。大きな物語の収束に向かう、まとめるためだけの回なのがよく分かります。落ち着きどころを目指して進む時間が、ああ、これで終わってしまうんだな、と残念な感じと寂しさと大団円と納得のコーダを編み込んでいき、さながら一大サーガの終着点を見るようで、ほとんど思い入れのない自分にも、制作スタッフの思いと視聴者への無言のメッセージがビンビン伝わってきて、いいな、この流れに乗りたかったなと思わせてくれました。

この先に。この先まで行こう。来年はもっと。(でしたっけ?)

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