あっくんさんは書楽せえぜ。

写楽じゃなくて、書楽。しょらくせえとはオレのことですよっと。

舞浜戦記2 サテライトと言う名の闘いもある

接客業。サービス業。現在は、特に資格や技能を持たない人々が仕事を手に入れる比較的容易な手段であり業種である。
僕もまたその人々の中の一人だ。
二十数年前、サービス業は今のように多様化し発達する直前の状態だったと思う。
バブルが弾けた直後の、長い停滞の時代だ。失われた20年の最初の数年の最中である。
だが時代背景は、このブログに必要ない。
早速本題に入らせてもらおう。

僕は、それまでサービス業に関わったことはほとんどなかった。
全くないでもなかったが、いずれも短期バイトですぐやめてしまったので、ほぼ経験として活かせるほどには至っていないため、未経験とほぼ同義だ。

ではなぜ、ディズニーだったのか。
もっと昔に遡ってのエピソードはある。だが無駄話になるので省略。
資格がなく、特殊技能もなく、学歴もない僕が選べるバイトの一つとして、短期的に乗り切れればいい、と割り切って始めてみようと思ったのだ。
つまり、気に入らなければすぐ辞める前提で、応募した。
面接は苦手だ。たとえアルバイトのであっても。
サテライトは面接とは違う。これが応募してみる理由の一つでもあった。




ディズニーのサテライト、という方式のバイト募集イベントは、現在も活発に行われている。電車の中吊り広告を眺めていれば半年ごとに並ぶので、みなさんも目にしたことはあるだろう。四半世紀たっても、ほぼ変わらず同じパターンで行われている。

サテライトというのは、衛星面接会場、という意味だろう。
本来、面接は正社員でも準社員でも嘱託でも派遣でも、本社にて行われる。それを別の会場を設けて開催するのだ。
なにせ、春や秋はキャストが大規模に入れ替わる。世代交代であり新陳代謝だ。
それまで務めていた子たちが退職する。卒業や就職を期にキャスト稼業から去る。また一年を通して自然に去っていく人もいる。そんなわけで、新たな人材が必要となるため、まとめて募集をかけて採用するからだ。
サテライト面接会場は、自分が参加したのは四半世紀以上前なので、現在と幾分異なっているかもしれない。
基本的には、広い会場にテーブルを並べて面接官(パークの現場で責任者を務めるリードが駆り出されて来る。いわば現場を最も知る人達が担当する)と一対一で行われる。
また、イベントを盛り上げるためにミッキーやミニーが登場する時もある。
公式サイトを見てみよう。
http://www.castingline.net/

面接予約はこちら。
https://www.castingline.net/disney_register/ptrentry/pcentry/EmailEdit.action?form.actionParameter=init&targetType=pc

要するに、こんなページを常設しておくほど、人手不足なのだ。

ディズニーキャストになりたい方が最も気にすること。
それは、自分の希望する職種に就けるか否か。

面接前にネット、電話で予約が必要になる。これは今も昔も変わらない。
いや、僕が受けた時は、予約なしに受け付けていた。そうだ、当日会場へ訪れて、その場で登録し面接を受けられた、と記憶している。
会場で面接を受け、その場で希望を聞いたり諸々の条件を確認する。これは同じ。
会場で、申込票への記入。うん、あったなあ。
写真撮影、これはなかったと思う。
身体サイズ測定? これもなかった。ただし申し込み票(履歴書を持参不要な代わりに、その場で記入する用紙があり、そこに身長と体重、洋服のサイズ(S、M、L程度)を記入した記憶がある。
これはコスチュームを着用するためで、当然だが勤務する際にサイズがありませんでは仕事にならない。事前に用意するために当然必要だ。まあぶっちゃけると、少数派な体型の方の専用サイズを用意するというより、合ったサイズのコスチュームの有り無しで職場が決められるケースが少なからずある事を意味する。
コスチュームによっては一着数万円する高価なものもあり、それを用意するにもコストがかかる。また、一人増員するにしても、一着だけ用意すれば済むわけがない。予備の分も必要になる。
つまり特殊な体型の方は、元々利用する対象キャストが多い職場になる可能性が高い。
たとえば非常に体格の良い(肥満体型)の方がいたとしよう。
元々少人数で構成される職場のコスチュームは、用意されているサイズの絶対数が少ない。必然的に標準的なサイズのキャスト分しか用意がないことが多い。自分に合ったサイズがない場合、その職場へは採用されない可能性が高いのだ。
カストーディアルなど、絶対人数が多い職場であれば、コスチュームのサイズも豊富に揃っている。少数派の体型の方も過去に勤務していたとすれば、まずサイズがないケースは起こりにくい。
というわけで、標準的と言い難い体格の方は、希望の職場へ行けない可能性が高まるということは覚悟しておく必要がある。

面接時の情報を基に、勤務条件の登録を行います、とある。
(ただし職種についてはあくまで「希望」をお伺いするのみとなります)
か。
なるほど、この時点ではまだ職場が決まらないのか。
僕の時は、その場で決めてくれた。のどかな時代だったのかな・・・。
上の、「勤務条件の登録を行う」とある条件とは。
キャストがどこから通勤するか、を意味する。
ディズニーキャストの勤務時間は多様だ。バックステージの非接客業務だと24時間どこかで働いている方がいる。深夜勤務は除いて、オンステージで接客を行う職種でも、朝早く夜遅い時間帯もある。
遠方から通う場合、始発や終電でも通えない時間帯がある。自宅が遠いほど、条件が狭まるのだ。
あまりにも自宅が遠い場合、勤務自体が不可能と判断されることもある。
たとえば片道二時間半かかる、なんて場合は、ほぼ採用を見送られてしまう。
舞浜から二時間半圏外となると、始発は午前6時として、舞浜駅に到着するのが八時半。そこから着替えや準備等で30分近くかかる。つまり早くとも午前9時からしか勤務できない。これではキャストとして勤務するのは残念ながら難しい。
いくら本人にやる気があっても、これでは勤務できないのと同じなのだ。
こういった諸条件を確認するのもサテライトの役目だ。

キャストになるための闘いは、そこから始まっているのだ。